絣(かすり)について

絣(かすり)とは、あらかじめ染め分けた糸で平織する技法です。完成品は井の字や十字などの文様になりますが、絵絣もあります。「久留米絣」と「伊予絣」、「備後絣」は日本三大絣と呼ばれました。 どの産地でも共通するのは、絣は藍と白の糸が織りなす色のバランスに魅かれた織物だということです。

いまでは、久留米絣の生産量が日本一です。久留米は昔から綿花栽培が盛んな土地で、江戸時代中期に絣が誕生し、約200年の歴史を持ちます。最初は井上伝(でん)という久留米の女性が「お伝加寿利」として売りだしたと伝えられます。

お伝は、ところどころ色が白く抜けた藍染の古着に着想を得て、糸を染め分け藍色と白色のまだら模様を作る技術を生み出したのです。綿糸を先に染めてから織ることで、微妙なズレが生じ、独特なかすれ模様となります。現在では、伝統的な幾何学模様や藍染めだけではなく、モダンな柄、ポップな色合いの製品も多く作られています。

 伊予絣も四国の松山で、鍵谷カナという、やはり女性が発明したものです。しかし、今では生産している織物屋さんは一軒だけという寂しい状態です。

備後絣もやはり後継者不足のため、生産しているのは二件だけです。福山市が「伝統的工芸品伝承事業」として存続への援助をしています。